sasshinoyoberu’s blog

よしのももこ&冊子のヨベル

友達をだいじにしなきゃいけない

ノートを見返していてわかったのだけど去年の9月の頭に保坂和志さんの『小説的思考塾』の配信をはじめて観ている。観るというか聞いたし、観た。保坂さんの小説じゃない本は何冊か読んだことがあってそれらは何度か読み返してもいたけど小説は一冊も読んだことがなくて、なのに前の日に急に今回だけは聞いておいたほうがいい、となってあわててチケットを買った。

その日保坂さんは書いたものをいちばん初めに読ませる人を絶対に間違っちゃだめだと言った。書いたものを読んで無条件に受け容れてくれる友達をだいじにしなきゃいけないというようなことも言っていた。たぶん。わたしがそれをノートに文字で書いたものが残っている。さっきからノートノートと言っているのはインターネットのあれじゃなくて罫線が印刷された紙を冊子にしたもののことなのだけど、

保坂さんが言ったこのことをノートに文字で書くよりも前、だいたい半年くらい前にわたしがあんなことを、あんなそれまでなら絶対しなかったようなことをしたのはやっぱり書いたものをとんちんかんな人に読ませては絶対にだめだからで、あれをしたのは頭じゃなかった。内なる声がどうのこうのとかでもなかった。幸運なことにうちには書いたものをとりあえず読んでくれる人がいて、読み上げアプリの変なイントネーションの音声に読ませながら活字を目で追うという荒技を使いながらもとにかく通しでざっと読んでくれて、よくわからんけどなんかおもしろいもんが書けてる気がすると言ってくれたからそれでもまだ手探りだったけどいったん終わらせる踏ん切りがついて、それでわたしはあんなことをした。

保坂さんの配信を聞いたら余計な力がぜんぶ抜けていよいよこわくなくなって、それからひと月くらい経ってわたしにそれまでなら絶対しなかったようなことをさせた当の人がわたしの書いたものを読んでくれたとき、その人は読みはじめてすぐびっくりしました、といって読んだそのままをその日のうちに書いて送ってきてくれた。わたしは間違えなかった。その人はたぶん読み上げアプリは使ってないと思うけどどうなんだろう笑