sasshinoyoberu’s blog

よしのももこ&冊子のヨベル

ほしのこ

このまえ札幌へ行ったときリュックサックに『ほしのこ』を入れて背負っていって、ラボのあとのお茶会のときに山下さんにサインをしてもらった。5年くらい前にこの本を読んだとき、こういうことをこんなふうにそのまま書いてもいいんだ、書いてる人がこの世にいるんだ、とわたしがざわついた。たとえば「ナントカ問題に真正面から向き合った意欲作です」みたいな説明文で納得したがる人を寄せつける隙がない本だった。隙がないというか中には隙間がたくさんあって、だから誰も攻め込めない。人間はずぶとくてたくましいってことが何の衒いもなく書いてあって、わたしも書こう、となった。山下さんは自転車を漕ぎ出したばかりの、ふらふら練習しているわたしを見かけて後ろの荷台のところを軽く持ってるふりをしてくれた。親切な人だ。親切にしてやろうとかいうのではなくてふらふら漕いでいたのがたまたま見えたのだ、それをこっちは勝手に恩に着ている、わたしはまだときどき、書けるか?書いたりしてさらすのかこれを?といって漕ぐのを止めて足をつく。素人はすっこんでろ、みたいな声は聞く気がなくても聞こえてくる。からだの調子がくるってる日とか、癇に障ってくることもやっぱりある。罠とわかっていてもつい認識してしまったりする。そのときにわたしは『ほしのこ』を開くことにする。これからは扉にサインがあるから、よしのももこ様って書いてあるから、思い出す手がかりにきっとなる。サインの写真は載せない