sasshinoyoberu’s blog

よしのももこ&冊子のヨベル

全幅の信頼、化けの皮、脱皮

せがれが、骨のまわりに肉をつけて皮で包まれたものとしてここに生まれ出てきたばかりの頃、わたしはその「せがれ」とわたしが呼ぶ生き物から全幅の信頼を寄せられていることにびっくりしていた。わたしが何をしたからとか、わたしがどんな人間だからとか一切関係なくただただ丸ごと信じて頼られている、そのことを少しプレッシャーに感じるときもあった。イヤイヤイヤイヤあっしなんざァ頼っていただけるほどの者じゃございやせん、めっそうもない、みたいな

それから何年も経った。せがれが少しずつ育っていくことは、その無条件の信頼が少しずつかたちを変えていくことでもあった。あれ?この人も別に完璧とかではないのかも?あ、やっぱり。ありゃーけっこう頼んないな、大丈夫かな?…信頼が失われるというよりは、別に超人でもなんでもない一人の人間がだんだんあらわれてくる。わたしの化けの皮が剥がれてくる

自分の意思(なんてものがあるとして、の話だけど)では決してかぶることはなかったであろうその皮をわたしにかぶらせたのはせがれだ。せがれの全幅の信頼がその皮をわたしにかぶらせた。かぶらせてくれた、かぶらされた、かぶらざるを得なくなった、化けの皮をかぶってる自覚なんかないままここまできた、気がついたらどうやらかぶっていたらしい、みたいなことでしかない

この十何年かのわたしはそれによってかたちづくられていたし、わたしは今そのことをうれしく思っている

そろそろ脱皮だ

とびこんできたもの 第1号

とびこんできたもの第1号jpeg

2/25のおかやまZINEスタジアム会場でとびこんできたものたちについて書いた読み物です。とりあえず読めればいい人は上の圧縮画像で、pdfファイルをダウンロードして読みたい人はヨベルwebで

ネットプリントにもあげときました。ファイル名はtobikonndekitamono001
【ローソン、ファミマ、ポプラ、ミニストップ
ユーザー番号: 286UN7KCT3
暗証番号: 9999
3/5 22:00頃まで
セブンイレブン
プリント予約番号: YK2BLDB8
暗証番号: 9999
3/5 23:59まで

ほしのこ

このまえ札幌へ行ったときリュックサックに『ほしのこ』を入れて背負っていって、ラボのあとのお茶会のときに山下さんにサインをしてもらった。5年くらい前にこの本を読んだとき、こういうことをこんなふうにそのまま書いてもいいんだ、書いてる人がこの世にいるんだ、とわたしがざわついた。たとえば「ナントカ問題に真正面から向き合った意欲作です」みたいな説明文で納得したがる人を寄せつける隙がない本だった。隙がないというか中には隙間がたくさんあって、だから誰も攻め込めない。人間はずぶとくてたくましいってことが何の衒いもなく書いてあって、わたしも書こう、となった。山下さんは自転車を漕ぎ出したばかりの、ふらふら練習しているわたしを見かけて後ろの荷台のところを軽く持ってるふりをしてくれた。親切な人だ。親切にしてやろうとかいうのではなくてふらふら漕いでいたのがたまたま見えたのだ、それをこっちは勝手に恩に着ている、わたしはまだときどき、書けるか?書いたりしてさらすのかこれを?といって漕ぐのを止めて足をつく。素人はすっこんでろ、みたいな声は聞く気がなくても聞こえてくる。からだの調子がくるってる日とか、癇に障ってくることもやっぱりある。罠とわかっていてもつい認識してしまったりする。そのときにわたしは『ほしのこ』を開くことにする。これからは扉にサインがあるから、よしのももこ様って書いてあるから、思い出す手がかりにきっとなる。サインの写真は載せない

2/25おかやまZINEスタジアムで販売する冊子リスト

よしのももこ『はいじまのわたし』

最新作の“原稿用紙四枚小説”です。今日はバタバタすぎて、かろうじて5冊だけ製本できました〜「夢野久作わたしの、いなか、の、じけん賞」で最終候補10篇に残ったときの作品をアレンジしたもの。時空を走り抜けるみじかくてながい小説

よしのももこ『土民生活流動体書簡集(一)バックレ可(笑)』

首都トーキョーが誇る消費者大相撲の土俵からバックレをかまし、とある離れ小島へ流れ着いた流動体(3人+2匹)からの手紙を本のかたちに編みました。流動する《生きている》、ジャケが雑草のようでやばい

よしのももこ『ジドウケシゴム』

読むものの大半が困惑し、なかなか読み進められないと言われがちなよしのももこの1st小説。歌と合奏と生き物のかたちを動きのまま小説にしようという無謀な試み、山下澄人さんはそのチャレンジこそが小説だと言ってくれた、みんなもこれ読んで踏ん切って

冊子のヨベル編集『ヨシノセイひみつ百科1』

イノシシをわなにかけ、ニワトリの世話をし、ギターを弾いて歌う人間、の生活の合間の小さなインタビュー集

ヨシノセイ『ヨシノセイの一日』

ぱっと見レジュメかな?と思わせるヨシノセイさんの詩集。おまけCD-Rつきなので、載ってる詩は全部歌えるよ!

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冊子のヨベル店番はヨシノセイさんがしてくれます。13時くらいまでは居る予定。もしどうしてもよしのももこに聞きたいこととかある人がいらっしゃいましたら現地でセイさんに言ってもらえたらその場でLINE通話つなぐとか、持ち帰ってツイートするとか、できる範囲でお答えします

書くほうも読むほうもちょっとしたひと手間をかけて印刷して紙で読むやり方

書いたものを、読みたい人にめいめいコンビニのネットプリントで出力してもらうやり方でリリースしてみた(プリントの仕方などを書いた2/18の記事)。2日経って9回プリントされていて、これは結構いけるかもしれない。会員限定とかそういう閉じたところで配るのでもないし、かといって誰でもデータ自体をダウンロードできるわけでもなく、書くほうも読むほうもちょっとしたひと手間をかけて印刷して紙で読む

茶目っ気のある人なら誰でも読めるようにしておく方法としては今のところこれが一番いいかも? 結果としてたくさんの人が読むことになるのはそれはそれで構わないし、あまりプリントされなかったとしてもいちいち赤字とか出ないから、欲しくもない人に無理に買ってもらう必要もない。せっかく素人が思いつきでしてることなんだからこのくらいのピリピリしないやり方でやりたい。皆が皆プロに似せたやり方をしなくていい。とにかくわたしはどんどん書くし出す、クオリティとかそういうのはわからない、時差があるから待ってたらもうお迎えがきちゃう

読みたい気はするけどこんな操作めんどくさくてできない、近くにコンビニなくてできない、って人はごめんなさい。ちなみにあと5日で消えちゃいます

新作『山下澄人によるLABへの準備体操の本』リリース

今日、札幌で開かれている山下澄人さんのLABに参加しました。2月に入ってからこのLABに向かう準備体操をはじめていて、そのメモを小さい冊子にしました。さっき、小一時間前にウワーッと書いたラボ当日の記録も最後のページに載っています。そんなすぐに言葉になるようなことじゃないんだけど当日にしか書けないものを軽率に書いてみようと書きました。コンビニのネットプリントにアップしておいたので読みたい方はお近くのコンビニで印刷してください。2/25くらいまでで消えちゃいますのでお早めに。白黒のネットプリント代20円だけかかります。B4で、8つに折って真ん中に切れ目を入れると8ページの折り本ができあがります。やり方がわからなかったら検索するか誰かに聞いてがんばってください。プリントできる期間は終了しました。40人以上プリントしてくれました、ありがとう。また気が向いたらアップするかもしれません。

こいのまちさっぽろ

ふとした思いつきで札幌に来ている。島から空港まで4時間かかったので、離陸してから新千歳空港までが一瞬だったのに驚いてしまった。北海道に来たのはたぶん今生ではこれが二度目で一度目も札幌で30年近く前とかにやってたバンドのどれかでライブをしに来た。あのときはほんとにライブ会場とあと車で連れて行ってもらった寿司屋くらいしか行ってない、と思う、まったく覚えていないんだけど、から、今回地下鉄に乗ったり歩いたりしてやっと札幌に来た感じがする

当たり前だけど雪だらけだ。みんな上手に歩くしさっきなんか雪でガチガチの歩道を走ってる子供もいたからさすがプロは身体さばきが違う。去年東京に行ったとき新宿で地下道を歩いてみたら人間が山ほどいるのに抜けがらCITYみたいなことになっててちょっとしたホラーだったが札幌は地下街も生きている。ふつうに。しかし島から来たわたしには大都会なのでさすがにすこしつかれた。やっぱり明日は時計台に行って裕次郎の「恋の町札幌」完コピ自撮り写真を撮るべきだろうか