sasshinoyoberu’s blog

よしのももこ&冊子のヨベル

「夢野久作 わたしの、いなか、の、じけん賞」の記録

 9月10日、土民生活流動体の本校了して印刷所への入稿も済んでしまったところでポカッと生じた空白にポコッと吸い込まれるようにしてあらわれたのが「夢野久作 わたしの、いなか、の、じけん賞」の案内文だった。応募の規定には「原稿用紙4枚以内」と書かれていてえっ4枚??4枚でやったらどうなるんだろ???とりあえず筆立てから鉛筆を、裏紙入れからA4の紙を何枚か出してきて机に向かった。「わたし」「いなか」「じけん」という言葉にくっついたイメージの付箋は剥がす、とだけ決めてはじまりを書いた。特に「いなか」と「じけん」。昼過ぎぐらいだったと思う。

拝島橋の手前で脇道に駆けこんで土手の上の道に出る。おれの足は一気に軽くなる。

 ここまで書いたらもう走っていたからそのままずっと走ることにした。この裏紙と鉛筆でやるこれはたぶんスタート前のジョグのようなもので、わたしはちょっとしたメモでも何でもものを書くときはだいたいいちど裏紙と鉛筆でばーっと走ってからだをほぐしてというか慣らしてというかそういうことをしてから最初の地点に戻ってもう一度スタートを切る。さっきのジョグの動きをなぞるわけではなくてあらたに動く。このときはポメラDM100を使うことにした。ポメラでやるのは久しぶりだった。

 手先でこねてしまうと足が止まるのでそのつど走り出しからやり直す。アゲイン!アゲイン!鬼軍曹みたいなやつがいて容赦ない。わたしなんだけど。なんだかんだで5時間ぐらい走ったということなのか気がついたら夕方になっていて、もうホップしないところまではきていた。晩御飯の支度もしなきゃいけないからそこでやめて書いたものはひと晩寝かせることにした。

 その段階で、たぶんお勝手でご飯を炊いているときに火の番をしながら書いたブログがこれ。

sasshinoyoberu.hatenablog.com

 次の日は9月11日で、前の日に書いたものをレーザープリンターで印刷して朝の仕事から帰ってきた連れ合いにも読んでもらった。自分でも読んでみる。いけてんちゃう?ということになりpdfファイルにして応募フォームから送った。賞の案内文と遭遇してから26時間くらい経っていた。スパッと送ってあとは送ったこともほとんど忘れて生活をやっていた。

 12月1日になって、書いて送ったものが「一次審査」というのを通っていたことがわかった。そういう関所があったんだ、とそこで初めて知った。423の応募があって、10作品に絞られたと書いてあった。原稿用紙4枚とはいえ423もの話を読むのはすごい。しんどくないんだろうか?しかし「おれ」の走りを「じけん」と見なして関所を通してくれた人がいるのはおもしろい。どういう人なんだろう?いつかその人と話してみたい。

yumenokyusaku.com

 その後、著名なかたがたの審査を経て賞には選ばれなかったので(昨日発表された)書かれたものは再びフリーになった。タイトルは『拝島の渡し』。文学賞事務局の方に「はいとうのわたし」と読まれていたけど「はいじまのわたし」です。2月25日の「おかやまZINEスタジアム」に冊子のヨベルで出店予定なので、それまでにもう一つ短い小説をやってふたつ合わせて冊子にしようかなとかと思っていますが間に合うのか笑