sasshinoyoberu’s blog

よしのももこ&冊子のヨベル

90年代初頭の7インチ専門極小レーベル

『ジドウケシゴム』の増刷分でジャケの紙の色を変えた。こういうことが勝手に、思いつきでやれるのがインディペンデントのいいところだ。

90年代の初頭、わたしはいろんな国の小さなレーベルからリリースされた7インチのシングルレコードを買って聴いていて、自分でも合衆国の工場にプレスしてもらって7インチをリリースしたこともある。やり取りはファクシミリがメインの時代だったから時差を考えて送ったりいろいろ工夫が必要だった。

極小インディペンデントレーベルが7インチばかりリリースしていたのはファッションではなく単純に12インチのLP盤をつくるお金がないからで、ジャケットも凝ったフルカラー印刷とかではなく色画用紙に単色のリソグラフ、みたいなシンプルなものが珍しくなかった。一度にたくさんプレスするお金もないから少しずつつくって、意外とたくさん売れたらまた少しだけ再プレス、というのを繰り返す。ファーストプレスとセカンドプレスでジャケの色が違う、みたいなこともよくあって、それはたぶん単に紙の在庫の問題なのかもしれないし遊び心なのかもしれないし、とにかく自転車操業ならではの適当さがそこにはあった。それを安っぽい、貧乏くさい、素人くさいといって下に見る人が世の大半を占めていたとしてもわたしはそれらのニオイがすきだったし、いかにも「商品」然としたレコードよりもずっとそれらは魅力的だった。30年経ったいまでもやっぱりその感覚はそのままあって、つくるものがレコードだろうが冊子だろうが、わたしがなにかをつくるというときはこういうやり方になる。